毎年この季節になると、テレビなどで「荒れる成人式」のニュースが取り上げられます。成人式は悪い方面で話題になることが多く、たとえば九州・沖縄あたりでは、その荒れ具合が毎年ニュースになり、警察が取り締まる地域もあるそうです。

壇上に上がって式を妨害する新成人の姿は、もはや風物詩のようになってしまいました。しかし成人式の運営には大きなお金(税金)がかかっていますし、何より、支えてきてくれた両親や親戚など、周りの方々に感謝を示すための祝日です。それを台無しにする行為は、笑いごとで済む領域をとうに超えているように思います。

では、なぜ成人式はここまで荒れるのでしょうか。私たちは、次の3つの背景があると考えています。

「荒れる成人式」の3つの背景

  • そもそも「成人式とは何か」が理解されていない
  • 運営側(地方自治体)と参加側(新成人)の思いがかけ離れている
  • 成人式の場が「アピール合戦」になってしまっている
INDEX
  1. 根本的に「成人式とは何か」を理解していない
  2. 運営側と参加側で、思いがかけ離れている
  3. アピール合戦になってしまっている
  4. こんな成人式を続けて良いのか、考えるべきとき
  5. おわりに

根本的に「成人式とは何か」を理解していない

今では当たり前のように出席している成人式ですが、そもそもなぜ「成人式」は作られたのでしょうか。

始まりは太平洋戦争の終戦後。「今の暗い雰囲気を盛り上げよう」というきっかけから、当時の日本政府が「自ら大人の一員としての自覚を持ち、その責任を果たそう」という思いを込めて、青年たちを祝福しようと始めたのが「成人式」です。

ところが、この背景を知っていた人は、20代100人へのアンケートでわずか3人のみでした。

成人式の由来を知っている人の割合を示すアンケート結果

この結果を見ると、「成人式とは何か」が根本的に理解されていないことが、荒れる成人式につながっているのだと思います。

運営側と参加側で、思いがかけ離れている

成人式に関するアンケートからは、形式的な儀式として行いたい運営側と、楽しむために参加する新成人との間に、大きなギャップがあることが見えてきます。

歌手などによるコンサートなどのアトラクションについては、高校生・未成年・新成人において「必要である」とした回答が50%を超えた一方、市長や政治家の来賓等の紹介については、「必要ない」という回答が全ての世代で過半数を超えています。

「成人の日」記念行事あり方検討委員会
成人式のイメージ

この意見の不一致も、「荒れる成人式」を生む一因かもしれません。実際に参加するのは、主催者である地方自治体ではなく新成人です。もっと新成人の意見を取り入れて、みんなが楽しめる内容や、地域活性化につながる企画を式に取り入れてもよいのではないでしょうか。

アピール合戦になってしまっている

もう一つの理由は、成人式の場がアピール合戦になっていることです。多くのメディアがかなりの枠を使って成人式を取り上げるため、「少しでも目立ちたい!」という人が増えた結果だと思います。

似た例としてハロウィンが挙げられます。ハロウィンはもともと、死者の魂が家族のもとへ訪れる際に一緒に来るとされる悪霊を驚かせ、追い払うために仮装するという目的がありました。それが今の日本では「仮装をして楽しむ日」へと変わっています。

成人式も同じように、「自分をアピールできるイベント」になってしまっているのではないでしょうか。「もっと派手に見せたい」「もっと大きな声で目立ちたい」とエスカレートし、最終的にはお酒を飲んで騒ぐという度を超えた行動になり、「荒れる成人式」と呼ばれる事態を招いているのだと思います。

こんな成人式を続けて良いのか、考えるべきとき

成人式には税金が使われています。だからこそ、祝日として行われる成人式のあり方を、もう一度しっかり見直すべきではないでしょうか。

日本として「形式的な儀式の一つ」として成人式を開催するのか、それともプロムのように「自分をアピールできる場」として開催するのか。この二つには大きな違いがあります。

成人年齢が18歳へ引き下げられた今、「成人式」という場をこれからどう活かしていくのかを、しっかり考えるべきだと思います。その場を無駄にするのも、とても良い機会にするのも、これから成人になる若者次第です。

おわりに

実際に私が成人式に参加したときも、荒れる新成人の姿を目にしました。周りの視線を集めようと、日本酒を回し飲みしたり、派手な袴で騒いだり。地元の先生が壇上でお祝いの挨拶をしてくださっているのに、大声を出して注意されている姿には、思わず胸が痛みました。

私たちが考える解決策は、まず成人式自体をもっとみんなが楽しめるものにすることです。たとえばその地域出身のアーティストを呼ぶなど、エンターテイメントを加えて、みんなが参加したくなる式になればと思います。そして私たちは、これから大人へ成長する新成人たちをサポートしていきたいと考えています。

「成人式に行きたい」と新成人が思い、「成人式に行かせてあげたい」と両親や親戚、地域の人が心から思える祝日であってほしい。私たちはそう願っています。

あわせて読みたい

※本記事は2020年に公開した内容を再編集したものです。