カナダ・ドイツ・アメリカでは、かなり普及されている「ピル」ですが、日本ではまだ「ピル」=「避妊」というイメージが強くあり、正しく理解されていない印象を受けます。
「ピル」はただ単純に避妊予防の為に服用するのではありません。様々な効果が期待できます。
今回、ピル(低容量)に関する疑問について、実際に診療に携わる医師をお招きして疑問を解決していこうと思います!
今回お話しを聞いたのは、ピルや性教育、オンライン診療に詳しい新田凌也先生です。
宜しくお願いします。
「ピル」はどういう効果があるの?
--Q1, 実際に「低容量ピル」はどのような効果があるのでしょうか?
低容量ピルは<生理を軽くする>という効果があります。
「ピル」と聞くと「避妊のため」イメージが強いですよね。
50〜60代の世代は、<生理のためにピルを飲むなんて!><生理は我慢するもの>という考えという方が多いのが現実です。そのため、高校生のお子さんで生理が重く悩んでいても<親ブロック>によってピルを処方してもらうまで辿りつけない悲しい現実があります。
その他の効果として、大腸癌や卵巣癌、子宮体がんのリスクを下げることが大規模研究で認められています。
これは有名な話ですが、2008年に発表された論文(引用参考)では、
- 女性が経口避妊薬を長く使用しているほど、卵巣がんのリスクが大幅に低下(最大15年継続で5割程度)
- 最近までピルを使用している程、がんのリスク大幅に低下させた
このピルによる効果によりこれまでに約20万人の卵巣がん発症が予防され、また、約10万人の命が救われたと推計されています。
事実、日本人の若い女性(閉経前)のピルの使用率は2%と非常に低く、卵巣癌の増加が問題となっています。
どのような「副作用」があるの?
--Q2, お話しを聞いていると、良いことばかりというように思えるのですが、<副作用>も気になります。
普段生理痛に飲んでいる痛み止めにも<副作用>があるように、副作用がないお薬はありません。
しかし、現在主流の低容量ピルは、以前使われていた中容量ピルに比べて副作用もかなり軽くなりました。
頻度が多いのは、開始1週間ほどに見られる不正性器出血、吐き気などですが、多くの方で1週間以内に治ります。
また、一番問題となりやすいのは、血栓症です。
ピルは上記の副作用から<飲んではいけない人>がいます。
病院ではピルを処方する前にこれらしっかり確認する必要があります。
- 血栓素因のある女性(血が固まりやすい人)
- 35歳以上で15本以上の喫煙がある女性
- 妊娠中の女性
- 思春期前の女性
- エストロゲン依存性腫瘍の疑いがある女性 など
「ピル」の飲み始めの時期はいつ?
--Q3, 具体的にピルはいつから飲み始めたら良いですか?
ピルの飲み始め時は、ずばり<生理開始日>です。
なぜかと言うと、体内のエストロゲンの濃度が低いのが<生理開始日>なのです。
時間が経つと、・ピルに含まれるエストロゲン・体内で作るエストロゲンが増えてしまい、上手く生理(排卵を)コントロール出来なかったりとピルの恩恵を十分に受けることができない可能性があります。
--Q4, 個人的な質問なのですが、ピルをもらうために産婦人科に行くのは少し恥ずかしい気がします。学校に行っているとなかなか通いにくいです。
そうですね。Q1でも言った様に一部の人には、ピル=避妊、やピル=性的に活発な女性 と言う偏見がありそれが、女性の不利益につながっている現状があります。
以前までは、クリニックに行く必要がありましたが、最近では、コロナの影響で初診からオンライン診療が出来るようになり、一度もクリニックに足を運ぶことなくピルを処方してもらうことができる様になりました。
クリニックに行きにくい、時間がない、生理が重いしピルを飲んでみようと思う方は、一度オンライン診療で受診してみても良いかと思います。
ありがとうございました!
引用文献:Ovarian cancer and oral contraceptives: collaborative reanalysis of data from 45 epidemiological studies including 23 257 women with ovarian cancer and 87 303 controls
Lancet(Vol. 371January 26 2008)
インタビューを終えて -私の実体験も踏まえた感想-
新田先生、改めましてありがとうございました。
私自身も3年ほどピルを服用しています。生理痛が酷く立てないほどの激痛や頭痛などがありピルを勧められました。
服用するとなった時に両親に相談すると初めは反対されましたが、きちんと説明をし理解してもらえました。
始めにあったような副作用は、私自身はそこまで強くはありませんでしたが、自分に合うピルを見つけるまで2回ほどピルの種類を変え、今服用しているものが一番身体にあったので今でも服用を続けています。
生理痛もとても楽になり、過ごしやすくなりました。
副作用であった血栓症予防のために私は半年に一回は必ず血液検査は行くようにしています。
正しく服用すれば心配することは少ないと思います。
オンライン診療サービス
新田先生とのお話の中で出てきたオンラインサービスについて、私たちで調べて見たところ、
最近では、病院に行く時間がなかったり、行きづらい人に向けてこのようなオンライン診療サービスがあるそうです。
このように忙しい方や病院に行くのに少し抵抗がある人にはおすすめのサービスだと思います!
初めてピルを使う方だけではなくて、現在既に「低容量ピル 」を服用している方にもおすすめできると思います。
様々なサービスも増えてきているので一度、ご自身にあったピルとの付き合い方を考えてみてはいかがでしょうか?
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