以前の記事でも紹介した、海外版成人式の「プロム」を覚えていますか? まだ知らないという方は「海外版成人式「プロム」」からどうぞ。

プロムは子どもから大人になるための通過儀礼ですが、日本の成人式と似ている点が多いと思いませんか? 私はアメリカ留学中に現地校のプロムを、帰国後に日本の成人式を、どちらも経験しました。今回は私個人の視点から、二つの違いをご紹介します。

INDEX
  1. 成人式とプロムの違いをひと目で比較
  2. 一番の違いは「行事へ向かう意識」
  3. 費用の違い
  4. 式の内容の違い
  5. おわりに

成人式とプロムの違いをひと目で比較

成人式プロム
参加への意識慣習として「参加するだけ」になりがち準備の過程から自発的に関わる
費用の目安振袖38〜41万円+前撮り3〜10万円など全体で2万〜15万円ほど
式の内容式辞・祝辞が中心の式典ダンスや食事を楽しむパーティー

それぞれ詳しく見ていきましょう。

一番の違いは「行事へ向かう意識」

成人式とプロムは、子どもから大人への通過儀礼という点では同じです。では、どこが違うのか。私が一番感じたのは、その行事へ向けての意識の違いでした。

成人式は、各市町村から式に参加する場を提供してもらい、慣習(文化)としてその場に「参加するだけ」。一方でプロムは、参加までのプロセス(過程)を大切にし、ダンスや大人としての装い・振る舞いを学び、自発的にインプットしたものをアウトプットする場です。

つまり、成人式が「その日限りのイベントに慣習的に参加する」ものであるのに対し、プロムは「イベントに向けたさまざまなプロセスを自発的に体験し、大切にする」ものだという違いがあります。

この違いが、若者の意識の違いを生む

日本の成人式は「ただ出席する」だけの場になりがちです。「大人になるための儀式」という認識が欠けているからこそ、成人式で度が過ぎるアピール合戦が起きてしまうのだと思います。

成人式のイメージ

こうした背景から、新成人の約30%(日本財団が2018年12月に行った「18歳意識調査」)が「成人式に参加したくない」という現状を招いているのかもしれません。荒れる成人式については「こちらの記事」も参照してください。

その一方でプロムは?

プロムは「自発的な参加」がなければ、そもそも式自体が成り立ちません。参加までのプロセスが、子どもの頃から始まっているからです。

プロムに向けた準備のイメージ

たとえば、食事のマナーやエチケット、ダンスを幼い頃から習っている家庭や学校があります。プロムは、これまでインプットしてきたものをアウトプットする場でもあるのです。もちろんプロムも全員が出席するわけではありませんが、準備が幼い頃から始まっているぶん、参加者の意識は成人式に比べると高いと考えられます。この二つの違いには、式への意識だけでなく、文化的な違いも関係しているかもしれません。

費用の違い

成人式で一番お金がかかるのは振袖です。その次に前撮りやアルバムの作成が続きます。

  1. 振袖 全国平均 38〜41万円
  2. 前撮り 3〜10万円(アルバム代が別途かかることが多いです)
  3. ヘアメイク 5,000円ほど(美容院の場合)

私の場合、振袖はレンタルで、前撮りと3枚ほどの簡単な写真をオーダーしただけでも合計38万円ほどかかりました。

振袖姿の前撮り写真

日本には振袖の貸し出しを行うボランティア団体が少ないため、振袖はどうしても自分で調達しなければなりません。レンタルする、家族で代々受け継がれているものを着る、友人から借りる——いずれにしても、経済的に余裕がないと、せっかくの成人式に参加できないという問題があります。ここは海外のボランティア団体のような仕組みを、もっと取り入れてもよいのかもしれません。

一方でプロムは、成人式に比べるとそこまで大きな費用はかかりません。全体で2万〜15万円ほど。この幅は主にドレスの価格差によるものです。内訳を見てみましょう。

  • 会場費 7,000〜10,000円(学校により異なります)
  • ドレス 平均12,000〜70,000円
  • ヒール 平均4,000〜20,000円
  • アクセサリー 平均3,000〜12,000円
  • ディナー 平均1,600〜12,000円

ドレスやアクセサリーは、ネット購入や自作でより安く抑えられます。また、ドレスを無料で貸し出しているボランティア団体もあります(ドレスがタダ!?プリンセスプロジェクト)。

プロムドレスのイメージ

式の内容の違い

成人式

  1. 実行委員などによる開式宣言
  2. 各自治体の首長(市長や区長など)によるお祝いの言葉・式辞
  3. 各都道府県議会議員などの来賓による祝辞
  4. 新成人代表者のスピーチ・成人の誓い
  5. 閉式

これが一般的な流れで、新成人が楽しむプログラムはありません。だからこそ「行きたくない」という人も多いのかもしれません。ただし市町村によってやり方は異なり、新成人が式の内容を考えたり動画を作ったりしているところもあるそうです。

プロム

DJを呼んでダンスを踊ったり、軽食をとりながら友達と話したり、みんなで写真を撮ったり。新成人たちが楽しんでその場を過ごし、少しずつ大人へと成長していく場になっています。

特にアメリカでは、大学進学で別の州に行ってしまう友達も多く、簡単には会えなくなってしまいます。だからこそプロムは、みんなで楽しめる最後の場と言っても過言ではないかもしれません。

プロムのパーティー会場のイメージ

おわりに

成人式とプロムは、目的は同じなのにこれほどの違いがあります。

成人式は、無事に成長したことへの感謝を伝える大切な機会です。新成人が「どうしたら楽しめるのか」「大人になるという意識が持てるのか」を考え、案を出し合ってもよいのかもしれません。「市町村から与えられた予算をどう使うのか」「どうしたらみんなが楽しめる式にできるのか」——みんなで意見を出し合い、悩み、考えること。それが最終的に本人たちの力となり、社会に出たときに「いい経験だった」と言えるようになるのではないか、と私たちプロムマガジンは考えています。

日本が持っている素敵な文化は残しつつ、新しいものも取り入れていければいいなと思います。

あわせて読みたい

※本記事は2020年に公開した内容を再編集したものです。費用等は当時の目安です。